みなさんこんにちは!すし子ママです
コシテルの大家さんは夫婦でされていましたが、いつも一階の事務所にいるのは奥さんでした。パンチパーマのカールがちょっとだけゆるくなったような、「ザ・韓国のおばちゃんヘア」で、ハキハキとしゃべる、ちょっと怖そうな第一印象でした。
でも、すーには初めから「かわいいね~」「お父さんにそっくりだね~」と優しく声を掛けてくれて、よくお菓子をくれました。私は韓国語がよくわからないので、なんとなく聞き取れた言葉と表情で片言のやりとりをする程度でした。
ユッケくんは朝から仕事に行ってしまうので、日中はすーと2人っきり。狭い部屋に引きこもるわけには行かないので、いつもすーをベビーカーに乗せてエレベーターで一階に降り、大家さんが事務所にいたら「안녕하세요~」(こんにちは)と挨拶して公園へ向かうのが日課でした。
大家さんはすーがいると必ず事務所から出てきて声を掛けてくれました。生憎、私は全てが理解できなかったけれど、よく「어디로 가요?」(どこに行くの?)と聞かれ、「공원에 가요」(公園に行きます)とやりとりしていました。私にとっては大家さんとの1対1の会話はドキドキもの。外国人配偶者のための韓国語教室で数か月学んだだけの韓国語レベルでしたから、難しいことは聞かないでおくれよ~(汗)と内心ハラハラしておりました。
そんなある日、すーとお家で遊んでいると、誰かがピンポーン!とドアベルを鳴らしました。私はどっきりとし、誰だろうと思いながら、エイヤと思い切ってドアを開けました。
するとあの大家さんが怖い顔をして、「누구세요 해야지!」と言うのです。
一瞬何を怒られたんだろうと考えて、ピンときた私。大家さんが言ったのは、「(開ける前に)誰ですか?て聞かなきゃでしょ!」ということだったんです。
大家さんは、今日、電気系統のチェックに誰かがくるよ、というお知らせをしに来てくれたのですが、ドアを閉めた後一息ついて、先ほどの「누구세요 해야지!」の迫力が何度も脳内を駆け巡りました。そして改めて、私とすーの身の安全の為にちゃんと注意してくれた大家さんの優しさがグッときて、なんて有難いんだろう...とじわじわ感動してしまいました。
韓国のおばちゃん達は明らかに日本のおばちゃん達よりおせっかいで人のことにも介入してくる一面があります。(すし子ママ調べ)。でも、そこには相手のことを自分の家族のように思いやる心があるとも思うんです。韓国に住んでみて感じたのは、人と人との関わり方が日本よりも直接的で、相手に遠慮しすぎず自分の意見を伝える人が多いなという印象。良い意味でキャラが立っている人が多かったです。
大家さんの訪問からしばらく経って、また1階の事務所前で大家さんに遭遇した私とすー。
大家さんがすーにお菓子をあげようかと言って、事務所の中においでと誘ってくれました。あんまり長くなると韓国語での会話も続かないし気まずいな~と思っているすし子ママをよそに、すーは嬉しそうにソファに座り込んでお菓子を待っています。
案の定、大家さんが私にも「座って座って。お茶あげようか?コーヒー?」と聞いてきたので、必死で「ケンチャナヨ!」(大丈夫です)と答えてすーの横に座りました。すると大家さんが私の韓国語レベルを理解しているのかいないのか知りませんが、ご自身の若いころの話をし始めたのです。
私は一生懸命に神経を集中させて、知っている単語をつなぎつなぎ、大家さんの話を聞き始めました。
私の聞き取った内容から大家さんの人生を紹介すると、おそらくこんな内容でした
結婚したばかりのころはお金もなくて、半地下の部屋に住んでいて、長女にはベビーカーも用意してあげられなかった。長男が生まれた頃には少しお金に余裕が出て、ベビーカーを買ったのだけれど、その時長女はもう自分で歩くのが当たり前の年頃で、ベビーカーに乗っている弟を羨ましがって、いつもベビーカーに乗りたがっていたと。今の私とすー、そしてすーのベビーカーを見ていると苦労したあの頃を思い出すのだと。すーが当時の娘さんによく似ていて、娘には苦労させたけれど、親思いの立派な子に育った。仕事ばかりしている両親の為に日本旅行を計画して、日本語も勉強して、行ったときには自分が率先して観光案内をしてくれたのだそうだ。そして、息子はあいつは自由にやりたいことだけやってどうにもならんと(笑)
(笑)と、こんな身の上話を聞きながら、実は私、途中で大家さんの思いに共感して涙してしまい、それにつられて大家さんもティッシュで涙をぬぐうという濃いい時間を過ごしたのでありました。
またソンスドンに遊びに行ったら絶対大家さんに会いに行きたいなぁ。あの頃よりは少しだけ韓国語も上達したし、すーの大きくなった姿を見せて、改めてあの頃の感謝を伝えたいなぁと思うすし子ママでありました。
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